2012夏号:特集-飛騨高山 白川郷-歴史と伝統を訪ねる(一般)

特集 -飛騨高山 白川郷- 歴史と伝統を訪ねる





世界遺産白川郷合掌集落 所在地/岐阜県大野郡白川村

白川郷は岐阜県の庄川流域の呼称であり、大野郡白川村と高山市荘川町、高山市
清見町の一部に相当する。
白川村を「下白川郷」、他を「上白川郷」と呼ぶ。 最近では
白川村のみを指すことが多い。
白川郷の荻町地区合掌造りの集落で知られている。
特有の景観をなす集落が評 価され、1976年に重要伝統的建造物群保存地区とし
て選定され、
1995年には五箇山と共に白川郷・五箇山の合掌造り集落として、ユネス
コの世界遺産(文化遺産)に登録された。

合掌造りは「小屋内を積極的に利用するために、叉首構造の切妻造り屋根とした茅
葺きの家屋」とされており、
掌を合わせたように三角形に組む丸太組みを「合掌」 と呼
ぶことからこう名付 けられたとされる。
茅葺の叉首構造 の屋根が特徴となっており、
後の時代に建てられたものはより急勾配となっている。
豪雪による雪下ろしの作業軽
減を考えられたものとされ、屋根裏の作 業スペースが多く取れる切妻屋根のものは白
川村や五箇山に多い。
この屋根裏をより広く利用 し養蚕棚の空間を大きく取るために
屋根が高く切り立ったと考えられている。
茅葺屋根の葺き替えは、30年~40年に一度
行われる。雪が屋根から落ちるときに、茅も一緒に落ちてしまう為、
補修作業は年に
1、2回必要となる。葺き替えや補修作業は、地元住民の働力提供により行われ、
この
仕組みは 結(ゆい)と呼ばれている。
     

 
 
 



神田家住宅 所在地/岐阜県大野郡白川村

白川郷で関守や名主を歴任した和田家から分家したのが神田家です。現在の主屋
は江戸時代後期に石川県の宮大工により10年の歳月をかけて建てられたもので木造
4階建、合掌造、茅葺で、1階:居住空間、中2階:寝室、2・3階:養蚕の作業場、4階:
物置となっていました。この合掌屋根は駒尻と呼ばれる構造になっています。これは
合掌造り屋根勾配を正三角形(60度)にほぼ近くし、「合掌梁」の付根の先端を駒 尻
のように細く削り、水平梁へ簡素に差入れての支点のため、地震や強風には自由な
応力を分散することにより家屋は破壊されない構造です。1935年の来村した建築家
ブルーノタウト氏は無駄のない手法だと絶賛したとの事です





長瀬家住宅 所在地/岐阜県大野郡白川村

長瀬家は250年続く旧家で、加賀藩主前田家の御典医を勤めていた家柄であり、
家宝には前田家縁の品々が伝わっています。初代から三代目当主までが医者だっ
たため、江戸期の医療具も残され、展示されています。中でも1階にある荘厳な
仏壇は500年前に作られたものといわれています。
現在の建物は明治23年(1890)に建てられたもので、木造5階建、茅葺、合掌
造り、1階:居住空間、2階:寝室、3階以上:養蚕や農作業スペースとなっています。
建築総工費は当時で800円、米100表、酒十一石八斗、工期は約3年かかりまし
た。建材には樹齢150~200年の檜や樹齢300~350年の栃、欅、桂などの良
材が随所に使われ、当時の長瀬家の格式が感じられます。 平成13年「結」による
屋根葺きが総勢500人程のボランティアで葺きあげられており、その時の様子が
ビデオを放映されています。

    

 



和田家住宅 所在地/岐阜県大野郡白川村

和田家は室町時代末期にこの地に土着した上層農家で、名主や牛首口留番所
役人を歴任した家柄です。当時は白川郷の重要な産業であった焔硝の取引も積
極的に行い財を築いたとされます。現在の主屋は江戸時代中期に建てられたと
推定される建物で、桁行12間(22.3m)、梁間7間(12.8m)、木造3階建、茅葺
合掌造(左右両側と背面に庇が付属)、1階:居住空間、2階以上:養蚕スペース、
正面には式台付きの玄関、1階外壁は黒漆喰仕上げ(腰部は白漆喰)、現在白川
郷に残る上層合掌造り農家建築の中でも最大級の規 模で質も高いことから土
蔵(江戸時代中期建築)、便所(江戸時代中期建築)と共に平成7年に、世界遺産
集落内にある唯一の国指定重要文化財に指定されました。
       




   
野外博物館合掌造り民家園 所在地/岐阜県大野郡白川村

県重文9棟を含む25棟の合掌造りを保存、公開する博物館です。
合掌文化の保存運動は、昭和44年~46年に10棟の合掌建築を村内各地より保存
目的で、荻町地区の庄川 左岸に移築した事に始まりました。江戸時代の中後期以
降の建造物群で、9棟が岐阜県重要文化財の指定を受け、民家園の前身「白川郷合
掌村」を創設、その後他の建物を移設しながら整備され、世界文化遺産の認定へとつ
ながっていきました。

岐阜県重要文化財指定建造物9棟は以下の通り。

旧中野義盛家住宅、旧中野長治郎家住宅、旧山下陽朗家住宅、旧東しな家住宅、
旧大家藤重家板倉、旧大家藤重家板倉、稲架小屋、旧中野義盛家板倉、
旧山茂文四郎家馬小屋、旧山茂文四郎家唐臼小屋