『よこがお』 ~寄稿者紹介~ No.1 倉田 剛 氏(その1)
「建築静岡」では各方面の方々に寄稿をお願いしています。
どんな方に寄稿いただいているのか? シリーズでご紹介していきます。
皆さん、お楽しみに!!
No.1 倉田 剛(くらた つよし)氏
(「シリーズ・ハイブリッド社会を生きる」連載中)
静岡県建築士会の広報誌「建築静岡」に『ハイブリッド社会を生きる』の連載ありがとうございます。2007年からの長期連載となり好評を博しております。
Q:まず、「倉田剛さん」とはどんな人間(ヒト)なのか教えてください。
私は、家業(ビジネス)と学業(研究活動)を、日常的に、平行的にあるいは合体・一体化させてきましたから、「ハイブリッド型ライフスタイル」です。したがって、私は「ハイブリッド人間」ということになります。「理論」と「実践」は、対極的とも言えますが、実はクルマの両輪、不即不離の関係にあります。学生諸君にも、社会に出ても働きながら勉強の方も怠らないように!と、話してきました。
Q:「ハイブリッド人間」をもう少し詳しくご説明ください。
異質な、対極的な要素を複数取り込みながら日々の生活が充実していると考えられる人ならば、「ハイブリッド人間」です。ビジネス(営利活動)しながら、同時に社会奉仕的な活動(NPOなど非営利活動)も続けている人なら、やはり「ハイブリッド人間」と言えるでしょう。私の場合は、イエの仕事(企業経営)の他に、NPOの活動や大学・大学院の兼任講師、また内外の住宅市場の調査研究にも取り組んでいますから、「異分子複合型人間」、すなわち「ハイブリッド人間」であると認識しています。
Q:ずっと、仕事と研究を同時進行して来られたのですね?
20代から現在まで、ビジネス(家業)と調査研究(学業?)の二足の草鞋をはき続けてきています。「理論」と「実践」の同時進行が私のライフスタイルだからです。家業と学業、ビジネスと研究は別モノとするのが常識ですが、実は重複させながら進めた方が面白いと感じていました。海外の知人からは、「クラタは、アメリカ人のようだ」と、よく言われます。
余談になりますが、欧米社会では、教師しながらビジネスを起こし、3~4種類の仕事を抱えているといったケースは当り前です。また大学教授が別の大学の学生であったりするケースも珍しくありません。彼らは、何かを学ぶ必要があった時が、年齢や立場に関係なく、学校に入る時だと考えている節があります。場合によっては、学校に通える場所に住み替えたり、転職したりもします。学校側も、妻子のある学生向けの家族用学生寮を用意しています。就職する場合でも、日本のように新卒優位(年齢優先)ではなくて、即戦力の有無の方が優先的な採用条件となっている社会です。ちなみに、アメリカでは、60年代から、年齢に基づく雇用差別は法律(ADE)で禁じられています。また住宅市場でも、中古住宅(used home)とは言わず、既存住宅(existed home)と言っているのも、築後年数よりも、立地条件やすぐに住める点(既存性)を優先させる社会的背景が関係しています。さらに脱線しますが、欧米人の多くが、事情が許せばですが、できるだけ早くに退職したいと考えています。退職後の生活を楽しみにしているからです。平均的な日本人とは逆ですね。こうした異文化的思考を取りこむこと(ハイブリッド思考)で、私たちもまったく新しい生き方(可能性)を見いだせるかもしれません。
スミマセン! 話がすっかり飛んでしまいました。
お話の続きは、次回『よこがお』 倉田剛氏(その2)でお伝えします。
倉田 剛 氏
<略歴>
・ 1944年 東京生まれ
・ 日本大学法学部卒業
・ 日本大学大学院法学研究科修士課程満期終了
・ 法政大学大学院経営研究科博士学位取得
・ 愛知工業大学大学院情報科研究科博士学位取得
・ 博士(法政大学・経営学) 博士(愛知工業大学・経営情報科学)
・ 一級建築士・土地家屋調査士
・ 国際ジャーナリスト連盟(IFJ)会員
・ 法政大学現代福祉学部・同大学院人間社会研究科(非常勤講師)
・ NPO法人リバースモーゲージ推進機構(理事長)
・ 住宅資産研究所(一級建築士事務所・代表)
<著書・論文・エッセイ>
・ 「リバースモーゲージと住宅」(2002)日本評論社
・ 「少子高齢化社会のライフスタイルと住宅」(2004)ミネルバ書房
・ 「団塊世代とリバースモーゲージ」(2006)住宅新報社
・ 「リバースモーゲージ・システムの多元的効用に関する研究」
(2008)愛知工業大学院
・ 「建築静岡」「リバース・ハイブリッド社会を生きる」
(2007~連載中 静岡県建築士会)
・ 「不動産鑑定」「シリーズ・成熟社会の住宅資産
(2011~2012 12回連載)住宅新報社